不安定でいい。支えなくていい。

現代ピアノ奏法を学ぶまで、とにかく安定した演奏がしたかった。
そのために、音の粒を揃えたり、しっかりと指先で鍵盤を支えて、少しでも安定感が出るように努力していた。

現代ピアノ奏法に出会って、その考えは180度変わった。

現代ピアノ奏法では不安定なまま、つねに身体のバランスが揺らぐ状態で演奏できる。むしろ、不安定になって均衡が崩れるときのエネルギーを利用して打鍵していく。
練習は、安定させる作業ではなく、支点をどんどん取り払っていく作業になる。

実際は支点がないわけではなく、前腕や肘、肩など、ポイントとなる部位に常時支点を移動させながら弾いているのだけれど、一点に凝り固まることはないから、支点がないように錯覚する。

安定した身体で弾くというのは、シートベルトを締めたまま演奏しているようなものだ。人間1分だってじっとしているのは苦痛だ。それだから、つねに動きながら演奏できた時の快感ははかり知れない。翼が生えたかのように、自由にバイクを操縦しているかのような解放感が味わえる。

不安定なほうがいい、支えなくてもいい。自然体な演奏に不可欠な考え方だと思う。

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