ゆっくり練習恐怖症、なぜこわい?

ゆっくり練習をしなさい!と言われ、遅いテンポで練習することはよくあるだろう。

私はこのゆっくり練習が大嫌いを通り越し、恐怖症だった。レッスンで「ここ弾けてないけど、ゆっくり練習した?」と聞かれるたびに、曖昧な返事を繰り返していた気がする。実際、ゆっくり練習なんて、数回やったら飽きてしまう。だって、つまらないんだもん(笑)

インテンポで弾いた方がずっと楽しいし、流れて気持ちいいから、ゆっくり練習をするときには顔がこわばっていたと思う。

それが、今ではゆっくり練習ほど快適なものはない。大好きな練習の一つだ。

では、なぜゆっくり練習が怖いのか。

音の減衰で音楽が停滞してしまうのが怖いからだと思う。そして、ゆっくり弾いたときに、勢いでごまかすことができないので、これほど味気ない演奏になってしまうんだ!ということを直視するのが怖かったんだと思う。

カチコチの音で弾いていたら、ゆっくり練習はただの怖気づいたスローモーション練習になってしまう。そうではなく倍音豊かな響きのある音で弾いていれば、ゆっくり弾いたときには一音一音の微細な響きの差異を感じとることができ、いつでも新しいインスピレーションを得ることができる。音は減衰しているはずなのに、ゆっくりだとより雄弁にピアノが歌うものだから不思議だ。

もともと方向性も何もない音を出しながら、「音の方向性を感じよう・・!」と音のしっぽを聴き続けていたのだから、これでは禅問答だ。耳も閉じるし、身体は締め付けられる。

最初から方向性のある音を出せばいい。四方八方に音を投げ出すとき、自然と音の行く先は見えてくる。

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